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ウワサの資格探偵団
旅行地理博士
片岡英夫さん(自営業)


机上で世界一周旅行が楽しめ、
海外旅行の充実度も格段にアップ
どんな資格ですか?

JTBの能力開発協会が年に2回開催する「旅行地理検定試験」の1級受験者の中から、トップの成績の人だけに与えられる民間の資格です。問題は国内と海外部門に分けられ、それぞれ1級から4級までのレベルで実施されていて、私は海外部門の旅行地理博士。別に国内部門の博士もいるということですね。

「観光」の知識のエキスパートを判定する試験ですから、試験内容もあくまで「観光」が中心。旅行者として役立つ知識全般から出題され、「旅行業務取引主任者」のように旅行業法や約款などをおぼえる必要はないんです。2級から4級まではインターネットと会場の両方で受けられ、1級は会場で受けなければなりませんが、旅行地理博士を取得すると、賞状と「第○回旅行地理検定試験 旅行地理博士」というプレートのついた地球儀がもらえるんですよ。
どうして地理博士にチャレンジしようと?

小さな頃から電車や時刻表を見るのが大好きで、地名や漢字を時刻表で覚えたくらい。鉄橋から見下ろす電車の屋根に雪が乗っていて、「この電車はどこから来てどこに行くのかな」と、幼いながらも旅にロマンを感じていたようです。こうじて地理が大好きになり、中学生になると教科書では物足りなくなって、海外の国の文化や歴史などの専門書を読んでいましたね。そんな中学生だったから地理と歴史の成績だけは抜群だったのですが、ほかの教科がいまひとつで「英検と同じように地理や歴史だけに特化した試験があればいいなあ」とずっと思っていたんです。

だから、1997年にこの検定試験が始まったときは「待ってました!」と本当に嬉しくて、もちろん最初から日本で1番の旅行地理博士を目指しましたよ。2年間、計4回受験して1999年に2番になれましたが、後は2番、3番、2番、3番、2番、2番とずっと足踏み状態。その間は本当に真剣に勉強をしていたので、1番になれない悔しさと挫折感もあり、「好きだから受けるんだ、1番になるためじゃない」と肩の力を抜いて受けるようになったら、2002年冬の試験で1番になって旅行地理博士の称号がもらえたんです。以来、4期連続で博士を取得しています。一度、博士になれば永遠にその称号を剥奪されることはありませんが、私はあくまで現役で地理を深く勉強したいし、毎回、満点に限りなく近づきたいと思っているので、今後も受験はし続けます。
旅行地理博士になるためにはどのような勉強をしたらいいのですか?
まずは観光用のガイドブックで、目的の国全体を広く浅く把握して、徐々にその国にポイントを絞った本や歴史書などを併用して勉強をするといいと思います。私の場合は、勉強したい国の白地図をノートにフリーハンドで書き、地名や観光名所、名物料理などを書き込んでいくんです。白地図を情報で埋めていくことで現場の距離感がつかめますし、平面の地図が頭の中で徐々に立体的になってきます。すると机上旅行をしているような感覚になって、行ったこともないのに地図が書けてしまう。こうして知識を積み重ねていきます。ただ、勉強していて思うのは、世界は本当に広くて、4期連続で博士をとっていても、まだまだ知らない場所があるということ。1級の問題を解くには非常に深い知識が必要で、現地に行かなければわからないようなピンポイントの問題も珍しくありませんから、対策の立てようがないし、勉強をしていて雲をつかむような気持ちになると思います。根を詰めすぎてスランプになるのもつまらないものですから、「地理や歴史が好きだから、楽しみながら受験するんだ」という気持ちを持つといいのではないでしょうか。
旅行地理博士の称号を持つメリットは?

「旅行業務取引主任者」のように国家資格ではないので、明確な実利を言うことはできませんが、以前、協会からもらった資料によると、旅行業界を希望する専門学校生の受験者が最も多いようでしたから、就職には有利になるのかもしれませんね。また社会的なメリットではありませんが、博士を目指して勉強をすることで、海外旅行という限られた時間を最大限に楽しめる、これは約束します。とにかく前知識が豊富にありますから、現地で見逃したくないものは確実にキャッチできますし、現地の文化や歴史も理解しているので、相手との接し方が格段に変わってコミュニケーションがとりやすくなるんです。よりよいトラベラーになれるし、トクすることも多いということですね。ただ実は欠点もあって、深く勉強することですっかりその国に行った気分になっていますから、現地での感動が少々薄い場合も。それから「旅行地理博士」だと海外旅行や現地でのアドバイスなどを求められることが多いのですが、知らないことがあると「博士」として恥ずかしいというか、これは困りますね。
旅行地理博士を取得して、今後の抱負は?
まだまだ認知度の低い旅行地理検定試験の知名度をもっと上げたいですね。例えば英検並にメジャーな検定試験になって、旅行業界以外の企業への就職の際にでも履歴書に堂々と書けるような資格にランクアップさせたいし、地理が好きだけど検定試験の存在を知らないという人も何らかの形で開拓していきたいですね。せっかく取得したこの資格を生かせる場所も模索中です。例えばweb上で発表することも考えていますし、資格の認知度が上がれば講師などにチャレンジする機会もあると思います。それから、今は海外部門が専門ですが、将来は国内の旅行地理博士にも挑戦したいですね。
地理博士を取得すると授与される賞状と試験問題。
旅行地理検定試験 地理博士

JTBが主催する「地理旅行検定試験」の1級受験者の最高得点者に与えられる称号。年2回の開催で、毎回、海外部門と国内部門の2人の博士が誕生している。平成16年6月実施の試験では、海外1級合格者は17.7%。「旅行地理検定」は毎年6月と12月の2回実施され、受験料は2500円から3500円(インターネット受験と会場受験、級数によっても金額は異なる)。

会場は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の6箇所。1級受験者は会場での受験が義務付けられる。

http://www.jtb-hrs.co.jp/tgta/

取材・文/原沢リヱ
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